起業してみて感じたリアル

はじめに断っておくと、僕がしたのは誰もがイメージするような、いわゆる「起業」ではない。勤めていた会社を辞めて、知人と一緒に会社を創った。事実だけ見ると、僕は「起業」した。だけど、僕の精神的な部分はそうじゃない。


今日の話は、僕が実際に大企業を辞め、自由を手にしたはずの今の生活の中で感じている、”リアル”を書いた独り言。


>僕は今まで、「仕事」などしていなかった

大企業で働いていた時は、それなりに忙しかった。朝はまだ眠っている身体を叩き起こして、満員電車で通勤。ランチはセブンイレブンのおにぎりをデスクで2つだけ食べて、長い時は外が明るくなるまで会社にいた。土日だってほぼ毎週働いた。


当時は忙しくしている自分に対して、一種の充足感を感じていた。スケジュールはパンパンで、毎日やることがあった。「仕事」をしているという実感でいっぱいだったし、その出来事のひとつひとつが、同僚との酒の肴だった。


だけど、そんな日々の中で途中まで気付きかけて、今はハッキリとわかっている事がある。それは、僕は「仕事」なんかしていなかったという事。


仕事というのは、すなわち利益を生む為にとる行動だ。株式会社は株主に利益を還元しなくちゃいけない。その上で余剰の利益がなければ、会社は続かない。サラリーマンがしている仕事が売り上げに結びつくのだから、それは仕事じゃないか、と言われてしまいそうだが、僕が言っているのはそういう事じゃない。


例えば、会社が新しいサービスを始めるとする。Aというサービスを作ろう。その為にはサービスを設計し、開発し、それを成長させていく為の「作業」が沢山ある。それをこなすのが「従業員」だ。Aを始めるアイデアと、その決定、指示を下したのは「会社」だ。つまり、「仕事」をしたのは会社であって、僕じゃない。僕が毎日出社して、1日中没頭していたのは仕事じゃない。「作業」だ。


>働く「時間」と「労力」に意味は無い

僕が仕事の話を誰かとする上で、反吐が出そうな程嫌いな言葉がある。それは「忙しい」と「ヒマ」だ。どうもみんな、自分の仕事の価値を労働時間で測ろうとする。断言すると、長い労働時間なんてクソの役にも立たない。ムダだ。だったら、さっさと終わらせて定時で切り上げ、本をその日に100Pだけでも読む。そうすると大体の本は3〜4日あれば読むことができる。そうすると、従業員の質が向上する。その方が、よっぽど生産的ではないだろうか。


だから、誰からもよく聞かれる、「最近忙しい?」という質問には、「まぁ、ボチボチだよ」と答えるようにしている。これも別にシックリはきてないけど。


あと、「頑張った」は通用しない。会社を経営していると、仕事上のミスや赤字に対して「言い訳」は意味をなさない。単純に、利益が目減りして、会社経営が苦しくなる事実は言い訳しても無くならないからだ。だから頑張って仕事に取り組む必要はない。必要なのは、利益を生むために頭を使う事だ。よく、「頑張ってるのに結果が出ない」という人がいるが、そんな、頑張った事を会社は褒めてくれない。なぜなら、会社はその作業をお願いして、その作業をやってくれる代わりに給料を払っているんだから、頑張ろうが楽しようが、どっちでもいい。できたか、できなかったかだけだ。


>サラリーマンが経営者になるのは危険

僕の社長を例に出す。彼のキャリアは、15年以上サラリーマンとして築かれてきた。何が危険なのかと言うと、彼は「サラリーマン」の枠の中から出る事が出来ず、その価値観のまま経営者をやってしまっている。


朝は決められた時間に遅れずに出社し、残業は当たり前。働いた時間の総量が、すなわち会社に貢献している度合いであって、楽をするのは悪だ。自分の時間からどれだけ仕事にコミットするかがその人の仕事人としての価値を決める。そう信じ込んでしまっている。そして、この染み付いた価値観はもう、拭えないだろう。


ちょっと考えてみてほしいのが、例えば1日のタスクが定時前に終わってしまったとする。サラリーマンはそんな時、定時の1時間後、あるいは他の人たちが帰るまで、特に意味の無いウィンドウを行ったり来たりして、時間を潰す。


そんな時、もし15時だろうが、お昼だろうが、帰ってしまえばいい。「いや、ムリだ。なぜなら、サボっていると思われる。」ほんとにそうだろうか。その数時間で、できる事は他に腐る程ある。家に読めずに積み上がっている本はないだろうか、英語は既にペラペラなのか、営業力はトップなのか、マーケティングの知見はあるか、エンジニアリングはできるのか、ビジネススキルを高めたければ、空いた時間で副業でも何でもやればいい。自分でタイムマネジメントをして、そういった努力ができない人の方が、よっぽどサボってはないだろうか。


これを経営者がやってしまったら、最悪だ。仕事をした気になって満足しているだけで、結果が伴うはずが無い。果ては、そのスタイルを他の人間にまで求めてくる。これが、サラリーマンが経営者になる危険性。


>起業できたんじゃなくて、起業しただけ

ここまで読んだらもうアレだけど、正直今全然たのしくない。サラリーマンの頃は、起業したら自分の中で何かが大きく変わる気がしていた。確かに、色んな事が激変した。でも、おそらく全ての社会人が抱く得体の知れないモヤモヤ感。これは決して無くならない。これが単純に起業しただけの僕の”リアル”だ。


ただ、僕は劇的に変わった。満足感はないが、会社を辞めてから1年足らずで多くを考え、悩み、人と出会い、新しい事が出来るようになったりした。それも、サラリーマン時代の何倍もの速さで。


学んだ最大のポイントは、行動しなきゃ何も起きないという事。僕は運に恵まれ、晴れて起業ができたんじゃない。後先考えずに誘いに乗って、起業しただけだ。ただ行動しただけ。


ただプログラミングスクールに通ってみただけ。ただクラウドソーシングに登録して、コンペに参加してみただけ。ただそれだけだ。それだけで、多くの情報が得られる。それぞれ失敗しても、それで得た情報は成功よりも価値がある場合が多い。


色々考えてしまって、行動するのをためらってしまうなら、そういう時は「やる」って決めてしまう。まずやってから考える。まず行く。まず会う。とどのつまり、ビジネスマンとしての成長には、「行動」しかない。勉強を始めるというのも、行動だ。


Happy Coding

プログラミング初心者が日々前進していくブログ

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