「体験」をデザインする

ちょっと前の記事ですが、「UI Crunch U25」に登壇していたDeNA南場さんの「新しいビジネスの作り方とデザインの関係」の話が好きなので思ったことを書いてみる。


それにしてもUI Crunch人気すごいよなぁ…毎回エントリーしてるのに全部抽選漏れているのは僕です。


全てはユーザーに提供する体験から考える

南場さんが「サービス、ビジネスとしての成功がどこに依存しているかと考えると、9割はユーザーエクスペリエンス。そして私たちが一番大事にしているDelightポイントはどこかというと、100%ユーザーエクスペリエンスの部分なのです。」と言っていますが、これはまさに本質だと思った。


これは僕の仕事の価値観だけど、会社の中で色んなミッションがあって業務があるわけだけれども、それらがどこに結びつくのか。何を意識するのかっていうところで、多くの人は売上って言っていました。もちろんそうなんだけど、アプローチが違うというか…僕もユーザーの体験が鍵だと思っています。


前職が音楽業界だったので音楽の話をすると、レコード会社のミッションって良いCDやライヴをつくること自体じゃないと思うんですよね。要はファンの方達が、そのアーティストのファンである日々をどれだけ素晴らしいものにできるかが僕らのミッションだと思って仕事をしていた。


だからCDを作る人、ライヴを作る人、ファンクラブの人、音楽配信とかデジタルサービスを提供する人、グッズを作る人などなど、アーティストの周りには色んなセクションの人たちがいるわけだけど、各々が各々の尺度で売れるものづくりをするんじゃなく、一貫してそのアーティストがファンに対してどういった価値や体験を提供できているかを考えるべきだと思う。


だからビジネスをつくったり、事業を推進する上で「体験」にフォーカスする事は重要。


▼機能やスペックの競争でプロダクトが売れる時代は終わった

これはUI/UXデザインのスタートアップで注目を集めまくっているGoodpatchのCEO土屋さんの言葉で、「機能やスペックの競争でプロダクトが売れる時代は終わり、ユーザーのインサイトを読み取り、ユーザー体験をデザインし、ロジックではなく感情を動かすことのできる製品を作る力が必要になってきています。そんな時代でデザインはますます重要になっています。」というのがあります。


あと土屋さんは起業する前にシリコンバレーに行っていて、当時の日本のプロダクトとの違いを指摘していました。日本は操作性よりも機能性で、とにかく機能を多く搭載することに価値を出しているのに対し、シリコンバレーではユーザーの体験にフォーカスしていて、余計なものは削ぎ落とすという考え方だった。とのこと。あとシリコンバレーではプロトタイプの段階でUIに力を入れている部分も日本とは違っていて、今後は日本にもそういう時代が来ると思ったそうです。


これらにはものすごく共感していて、デザインっていうのは単にビジュアルデザインを指しているのではなくて、体験そのものをデザインし、それに対して最適なUIをデザインするということがこれからのプロダクトには欠かせない。


これってプロダクトもそうだけれど、プロモーションの分野でも同じマインドでやる必要があると思っています。前職ではWebプロモーションをしておりましたが、なんでもかんでも「告知」と捉えてPVとCVRで管理するのではなく、企業からのメッセージを受け取った顧客がどんな印象を受けるか、どのように感情が動くかを意識しなきゃいけない。


▼課題点

体験のデザインが重要なのはわかっていても、ボトムアップで組織全体がそういうマインドを持つことってかなり難しくて、やっぱりマネージメント層がそれを信じ、牽引していかないとチームとして機能するのは難しいですよね。Goodpatchさんも常々言っていますが、定量的に判断できないデザインや人の感情という部分に投資できる組織は非常に少ないです。


これを経営層が主体となって推進している両社は本当に良い会社だなぁと思ったし、チームでこうしたマインドを共有している組織は強いと思った。



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